reponの忘備録

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労働基準監督官には捜査権があるーダンダリン第1話を見た

労働基準監督官が主人公のドラマ「ダンダリン」を見ました。


「署」が付く役所、税務署とか警察署などには捜査権があります。

だから、労働基準監督官が捜査権を持っているのは知っていました。

知らなかったのは、「逮捕の手順」ですね。

後半部分で詳しく描写されていたのですが、結論は、警察と一緒でした。


逮捕・起訴の請求は検察が行い、許可は裁判所が行い「逮捕状」を発行する。

労働法違反も、同様の手続きを経る、ということらしいです。


ちなみに、「署」が持っているのは捜査権という「行政権」の一つです。

西部警察」とかみたいに、司法立法行政を一手に引き受けてショットガンで犯人を狙撃してはダメなんですね*1

むしろそれは昔の警察の姿ですね。


昔の警察は、しょっ引いてお白洲で裁いてすぐ処刑で、「行政・司法・立法」が一体でした。

たとえば、捕物帳の世界は、ワイロ当たり前、岡っ引きの私権発動当たり前、密告歓迎の社会。


なぜそうなるのか。

そもそも「治安」のための上からの組織だった、ということなんですが、そこに幕府がコストを掛けられなかったんですね。


で、コストを最小限でやろうとすると、目明しや岡っ引きのほとんどが給料を得られない。

なので彼らは関係者を強請る。持ちつ持たれつの関係なので、町奉行所も見逃していました。


また、「自治組織」である「家主五人組」を最大限に活用、具体的には相互監視と連帯責任で秩序を保っていました。

これは密告の勧奨につながり、実際江戸は密告社会だったようです。


ヨーロッパも同様で、これを分権したのが近代警察(警察は「行政」)に至る歴史だとのこと。
(「警察の誕生」菊池良生より)


「逮捕」=「社会的に抹殺が当然」ではないのですね。


大人気のうちに終わったドラマ「半沢直樹」は、企業内部の、いわば私人の間の問題が主なので「正義と人情」で裁いて良かった(?)のですが、同じように「正義と人情」で裁いてしまうと「西部警察」ならぬ「西部労働基準監督署」になりかねん。なるのか?


監督官自身が過労死するという結末や、ドラマ制作をしている下請会社に捜査の手が入るというメタ展開は、ありそう。ないな。


労働基準監督官の数が少ないのはずっと指摘されていることで、

全国では、約430万の職場で約5,200万人が働いています。
労働基準監督官採用試験│厚生労働省

が、監督官の人数は3,000人くらい(正確な根拠ががググっても出てこなかった)。


さて、今日は第2話。今後は、どうなるのか。

*1:わかった上でのジョークだったんですが、むしろあれが警察の姿みたいになってますね