国民年金は全員が受け取れるように改革すべき
平成3年(1991年)までは、学生の年金納付は自動的に免除でした。それが20歳以上は全員強制加入となりました。
たまたまその事実を良く飲み込めないで放置していた方で、大きなけがにあって障害を負ってしまったときに、国からの保障が出ないという事態が起きました。
20歳前に障害を負ってしまった場合には、別途「20歳前の傷病に基づく障害基礎年金」というものが出ます。
ですから、20歳を過ぎて、保険料を納めていないか、免除申請をしていなかった方が、保障からこぼれ落ちてしまうのです。
社会保障制度というものは、無拠出の制度(生活保護、公衆衛生、老人福祉、児童福祉、身体障害者福祉など)と、拠出型の、保険料を集めて行う制度(社会保険や労働保険)があります。
<社会保障の4部門>
種類 | 制度 | 保険料負担 | |
---|---|---|---|
1 | 社会保険 | 医療保険(健康保険など)、年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険 | 有 |
2 | 公的扶助 | 生活保護、災害救助など | 無 |
3 | 公衆衛生及び医療 | 結核予防、伝染病予防、母体保護など | 無 |
4 | 社会福祉 | 老人福祉、児童福祉、障害者福祉など | 無 |
このうち、「障害基礎年金」は、拠出型の制度となっています。
本当は、保険料など納めなくても、障害者になったら年金が支給される制度が望ましいのですが、現時点ではそうなっていません。
「セイフティーネット」に穴が開いているのです。
その穴を、各自がふさがなくてはならない制度になっているのです。まったく、おかしな話です。
おかしな話なのですが、現実の制度はそうなっているので、防衛策を講じる必要があります。
20歳を過ぎたら、保険料免除申請をする。なかなか広報が行き渡っていないようですが、このことは広く伝えるべきだと思います。
現在、民主党や自民党の一部から、「年金を税負担に」という政策が浮上しています。
政府もこの案を検討しているようです。
私はこの、「部分的ベーシックインカム」ともいえる制度の導入には賛成なのですが、それをどの税金で負担するかは保留しています。国会の議論の焦点もそこにあると思います。揉めるでしょうね。
私は消費税には否定的なのですが(「福祉目的税」という名目で導入したが、結局は法人税と所得税減税の穴埋め財源に成り下がってしまったので)、どの税でまかなうにしろ、この案は真剣に検討して欲しいと思います。
この議論は、「消費税か否か」とか、「結局企業の利益に供するじゃないか(厚生年金の半額を企業が負担しているため)」などを争点にせず、あくまで「全額税方式にするか否か」を争点にして欲しいです。
その点では、野党も与党もほとんど異論はないはずなので。
そして、基礎年金部分を全額税方式にするために10兆円の財源が必要で(記事では年額22兆円の試算も出ています)、それは膨大だというならば、基礎年金の大部分を占めている「老齢基礎年金」以外の年金を全額税方式にして欲しいです。
<国民年金の種類>
保険事故 | 年金給付 | 一時金給付 |
---|---|---|
老齢 | 老齢基礎年金、付加年金 | |
障害 | 障害基礎年金 | |
死亡 | 遺族基礎年金、寡婦年金 | 死亡一時金 |
老齢基礎年金以外の基礎年金部分を全額税方式にする、このことも議論の対象にして欲しいです。