reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

「ブリッジマンの技術」

話が通じないのはなぜか?

いろいろな理由はあるが、根底にあるものとして「フレームワークが異なる」ことがあるようだ。


フレームワークの説明は難しいが、同じ言葉でもベースにある知識・記憶・感情などが異なると、意味の違ったものとして使われ、それらが総じて異なる世界が作り出される、そういうもの、らしい。

一例だが、「湯水のように使う」というと日本では価値あるものの無駄遣いすることだが、湧き水も雨水もほとんど貯まらない島では、「湯水のように使う」とは最も大事に使うことを指す。ベースにある状況が異なるので意味が変わってしまう。



本書では、人と人との間で「フレームワークが異なる」ことを前提に、そのフレームワークを理解することで、「分かり合えない」から「通じる」に変えていくため著者が取り組んできたことが書かれている。


著者はまず、第2章で「人を知る」ことを提起する。


人を知るには、「『相手の関心』に関心を持つ」ことだ、と著者は言う。そして、「相手」とは、「全員」ではなく「一人ひとり」であるから、「『ひとりひとりの関心』に関心をもつ」こととなる。そのためのヒントを幾つか上げている。詳しくは本書をご覧ください。


しかし、人を知るだけでは、「話が通じる」ことはできない。「自分を知る」事が大切だ。自分のことは案外知らない。

ここでも、「相手から見た自分」がどのようにみえるのかを、自分自身で客観的に見ることが大切だ。こころとか、信念とかではなく、あくまで他人から見た自分を見るのである。


そのうえで、「話が通じる」ために「他人」と「自分」をすり合わせるとき、変えられるのは「自分」である。そのためのヒントが興味深かった。


折り合わないときは、「1つだけ譲歩する」。


「負け」をイメージして、自分に大した影響が出ないことを知る。

それとともに、逆に相手にとっては「負けカード」は最強のカードであることも知れば、負けることは怖いことばかりではなくなる。


また、相手の言葉を「翻訳」する。たとえば罵声も、親しいと思うから出てくる。本当に嫌いなら、「無視」である。


これから関係を築きたいと思う相手の場合は、相手の言葉を、ワンクッション置いて、自分に都合よく「翻訳」することで随分ショックを受けずに済む。

それでもダメなら、席を立ち、気分を変える、など。


非常に実践的な内容だった。


そこから最終章は、難しい内容を、「なぜ著者は難しい言葉や概念を使おうとしたのか」を考えながら読むことで、著者にとっての言葉や概念の「フレームワーク」を見つけ出せれば、「通じる言葉」として難しい内容も読み解ける、と、具体例をあげて示している。


たまたま手にとった本だが、非常に面白かったです。