誰が「デジタル放送」のターゲットか
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- はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):「アナログ放送終わります」テレビ画面に常時字幕へ - 文化
実家に戻ると、茶色の封筒にオレンジの字で「締め切り迫る!!!」という文字が。
何かと思うと、ケーブルテレビの業者だった。
- 「今までのテレビは見れなくなります!!!」
- 「今なら契約料無料!!!」
- 「工事費も大幅引き下げ!!!」
- 「○月×日締め切り!!!」
- 「急いで申し込んでください!!!」
アホか。
ケーブルなんて、ケーブルのコンテンツ見たい人以外は契約しないっつーの。
ていうか、一番重要な、毎月の契約料が書いてないじゃん。
良く読むと、パンフレットの最後にちっちゃく書いてあったよ。
ひでえな。
さらに、ネットは別料金だよ。
全然アドバンテージ無いじゃないですか。
このうたい文句は詐欺的だと思った。
電話してみた。
「この受信料にNHKの受信料って入っているの?」
「いいえ」
なんだそりゃ。
全然安くないだろ。
毎月5千円も払えるかっての。
もう少し待っていれば、アンテナ業者が設置を格安にするに決まっている。
テレビなんて見なくても死ぬものではないし。
でも。
その夜、隣の家から相談が来た。
「どうも今なら安いらしいし、これからテレビみれなくなっちゃうから、契約しようと思っているのよ」
おいおい。
一応、毎月の経費がかかるのでしばらく待った方が良い、と伝える。
まだアナログ放送が終わるまで3年もある。
3年間毎月5千円ずつ払い続けたら18万円だ。
それなら、3年後にデジタルチューナーが安くなったときに、アンテナ立てて、チューナーなりテレビを買えばいい。
ケーブルのコンテンツを視聴したいなら別だが、デジタル放送に対応するためだけなら、急ぐ必要はない。
でも、あそこの家も入れたみたいだから。
あっちのお宅も。
「いえ、ケーブル放送を楽しまれる分にはよいと思いますよ」と伝えて、終わる。
後はご自分で選んでください。
親には、「こんなインチキにだまされちゃダメよ」とだけ伝える。
その後、1週間おきに業者から封筒が投げ込まれ、時々その業者の名前の入った軽自動車を見かけるようになった。
良く事情のわからない下町の連中を加入させているのだろう。
実家は下町にある。
ネットなどほとんど普及していない、ここ30年ほど何も変化無く、ただ時間だけが過ぎていった場所だ。
わずかな年金を糧に生きているお年寄りが多い下町では、情報はほとんどテレビから得ている。
娯楽はテレビだけだと言っても良い。
そのテレビがなくなるのは、かなり動揺する出来事なのだろう。
そこにつけ込む業者。
わずかな年金から、ほとんど意味のないコンテンツの契約をして、毎月5千円が引かれるわけだ。
ひどいな、と思った。
未だにパソコンのデジタルチューナーは一般的ではない。
騙せないとわかっているからだろう。
騙せるところを騙す。
それが、彼らのやり方。