reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

物語に取り込まれないこと

そもそも産経新聞の元記事は、多分に扇情的で、加害者・被害者の背景もなく、明らかに「コマッタ少年がいる」というスタンスで書いているわけで、まんまとこの物語に扇動されて「死ねばいいのに」などのタグをつけて私などは気持ちよくなったわけです。

それがどういうわけか、代表的な意見のみならず、社会を構成する中核として位置づけられ、一言で言うと「悪の親玉」にされてしまうことは大変遺憾ですが。

だいたい、はてブに「死刑」とかいたところで現実にどれくらい影響を及ぼすのかというと疑問ではありますが。

そこら辺はリテラシーの問題だと思います。

例えば、

<シリーズ 少年犯罪を考える>初めて素直に少年は語った


「大変なことをしてしまった。どうすれば償えるのだろうか」そう、少年は切り出した。


少年の父母は非営利団体の職員で、彼が幼い頃から両親は「障害者福祉」に忙殺され、まともな家庭生活が営めず、いつしか少年の心には、父母を奪った障害者たち、という怨念がすり込まれていた。

少年は涙をボロボロと流しながら「本当に申し訳ないことをしました。自分は寂しかったんです」と述懐をはじめた。奪ったお金も自分ではほとんど使っていなかった。


少年は新聞配達をして、自分の学費を積み立てていた。自活することは、経済的に厳しい家庭環境におかれた少年にとっては当たり前のことだった。


悪友たちに誘われ、仕方なくやったことだったけれど、「もうどうでもよくなって」警察に対しては「障害者をいじめて何が悪い」と口走ってしまった。

なんと言うことを自分は行ってしまったのだろう、少年は悔やむ。


実は、障害を持った妹が、同じ障害を持った子どもにいじめを受けているという「事実」があり、何とかならないかと苦悩していた。

事件は確かに悪友にそそのかされたのだけれど、心の奥底では、「障害者」のレッテルに隠れて、陰険ないじめを行っていた「障害者」たちに対する遠い報復の意味もあった。

「でも、やったことは取り返しが付きません。罪を償うために、出来ることを全力で取り組みたい」と彼は語る。

組んだ手の甲に、彼の涙が、ぽとり、と落ちた。

なんてな。


これに[死ねばいいのに][死刑にすべき]というタグは付かないでしょうね。

むしろ「美談」になりかねない。


では、これは「美談」なのか。

とんでもない。

いくら後悔したところで、彼らの行ったことが報道通りなら、それは動かしようのない事実として、永遠に残り続け、それに悔いたところで、被害者の痛みは軽減される訳でもなく、あくまで彼らは「非道」な行為を行ったわけです。


ですが、たぶん[死ねばいいのに]タグは付かないでしょうね。


僕らは実に簡単に「物語」の持つ力に載せられてしまいます。


「事実」とはなにか。その点を追求することは並大抵のことではありませんが、そうあるべきなのでしょうね。

またしても警察の捏造 少年ら訴訟へ


「『障害者をいじめて何が悪い』なんて言っていない!」

語気強く語るのは、いじめの主犯格とされるA君だ。

彼らは知的障害者ばかりを狙い、その金品を巻き上げるのみならず、虐待をゲームとして楽しんでいた。

「そのことは悔やんでいます。仲間でつるむと、どうしても悪のりしてしまって」

でも!と彼は続ける。

「警察が言っていること、それを載せた3k新聞が載せた記事は、根も葉もないです」

「障害者を狙った、というよりは、弱い奴にたかっただけです」

公判では、少年たちの犯行後の態度が大きな問題になったが、これが事実でないとすれば、今後の裁判の展開は大きく変わるだろう。

「狭い部屋で、筋書きを用意されて、何度も怒鳴られれば思わずうなずくことだってありますよ」

少年は悲しげに目を伏せた。「それほどまでして、僕らを悪党にしたかったんですかね」

茶髪でピアスをつけ、今時の服装で着飾っている彼は自信に満ちあふれていたが、ぽつりぽつりと言葉を重ねるたび、年相応の少年らしい顔つきに戻っていった。

「敵を作って叩きたいだけ。俺らのやったことは間違っているけど、やってないことまでおっかぶせられても納得いかない」

そう、少年は語った。

ちかく、少年たちと弁護団は、検察を相手取り訴訟を起こす見込みだという。

事実はどこにあるのか。記者はそのことを胸に深く刻んだ。

というひっくり返しの記事が出るかも知れませんね。