reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

夜明ーけは近い


国会前は、様々な団体が場所を取り合い、座り込みと称して集会を催し、示威行動を行っていた。

そのなかでもひときわ目に付いたのが、真っ赤な革命旗を二本の物干し竿で広げて掲げ、グラサンにマスクという出で立ちの一群であった。


彼らは、「団結」と書かれた真っ赤なゼッケンを背負い、深めに帽子をかぶって、道行く人に「労働者学生が団結しましょう」と機関誌を配っていた。


機関誌には、労働者の団結と日共批判が載っている。そしてイラクの被抑圧民への連帯もである。


折しも彼らの集会が最高潮を迎えようとしていた。


メガフォン片手に、ひょろっとした学生が前に出て、国会議事堂を背に、集団と向かい合う形で立ち、演説をぶりはじめた。


「我々は!既にそのファッショ性を隠そうともせず、憲法9条を変え日本をアメリカの前線基地に変えようとしているファシズム内閣に対して、満腔の怒りを持って鉄槌を下すものであーる!我々の怒りは、沖縄、神奈川、三沢、基地のある住民たちの怒りであり、勤労人民の怒りであり、遠くイラクに於いて抑圧される人民たちと共有されるものであーる!」


話す度に興奮の度合いは高まっていく。


教育基本法を改悪しようとする勢力が次に狙っているのは憲法9条であることは間違いない事実であり、これに我々は断固として糾弾をするのであーる!イラク人民の必死の抵抗である崇高な自己犠牲の攻撃は、これをテロとしておびえる帝国主義の連中に対し、華々しい効果を与えているのであーる!我々も、この動きに国際的連帯をし、最後の最後まで、戦うのであーる!」


すっかり紅潮した表情でやおら国会に向き合い、「シュプレヒコール!」大声を張り上げる!

サングラスにマスクの連中も国会に向けて高々と腕を上げる。

そして朗々と糾弾の声が叫ばれるのであった。



であーる

であーる

であーる


とりあえず横を通り過ぎるとき、小声で言ってみる僕であった。



まあそれも一つのお祭りかしら。

ねぇピチカート。