2/5に読んだ本
- 読書は対話に役立つ、読書は要約力を鍛えコミュニケーション力を付ける、読書は新しい世界への扉である
- 3章の読書クイズ、マッピングなどが、実践的で、自分でもやってみたいと思った。
相手の利害に焦点を当て、お互いが折り合わないと仮定した時に取れる行動の幅(バトナ)を情報収集で増やし(相手のバトナを知り)、アンカリングや仕掛けをともなった「譲歩」で交渉のはじめから終わりまで有利に進めるテクニックを紹介。
相手からぶん取ればいい、ではなく、「落とし所」を探り、損得を整理しながら(整理の方法も書かれている)譲歩する部分を自分で発見、継続的な交渉かを考え「儲け過ぎない」ことなども、単なる警句にとどまらず、論理的結論として導き出していて、腑に落ちる。
お互いが「合理的」である人間同士の交渉ばかりではないので、「非合理的」な人間を6つの類型として抑えている5章は、僕には「非合理的な人間」の方に親近感が湧いたので、逆に「こういうふうに籠絡されるのだな」と学べた。
「騙し合いのテクニック」として読むと、瀧本さんが「カイジ」の利根川にしか見えなくなるのだが、「騙されず、お互いが一人の人間として落とし所を探る」「そのためのマップ」と捉えると、これは前作と合わせて、実践的な良書だと思った。
なにより、読むだけではなく、アウトレットする「知的訓練が必要」だと痛切に感じた。
なお、時間がなかったので第6章未読。とりあえずメモとして。(15分)
2/3に読んだ本
話が通じないのはなぜか?いろいろな理由はあるが、根底にあるものとして「フレームワークが異なる」ことがあるようだ。フレームワークの説明は難しいが、同じ言葉でもベースにある知識・記憶・感情などが異なると、意味の違ったものとして使われ、それらが総じて異なる世界が作り出される、そういうもの、らしい。
一例だが、「湯水のように使う」というと日本では価値あるものの無駄遣いすることだが、湧き水も雨水もほとんど貯まらない島では、「湯水のように使う」とは最も大事に使うことを指す。ベースにある状況が異なるので意味が変わってしまう。
人と人との間で「フレームワークが異なる」ことを前提に、そのフレームワークを理解することで、「分かり合えない」から「通じる」に変えていくために、著者はまず、第2章で「人を知る」ことを提起する。
人を知るには、「『相手の関心』に関心を持つ」ことだ、と著者は言う。そして、「相手」とは、「全員」ではなく「一人ひとり」であるから、「『ひとりひとりの関心』に関心をもつ」こととなる。そのためのヒントを幾つか上げている。詳しくは本書をご覧ください。
人を知るだけでは、「話が通じる」ことはできない。「自分を知る」事が大切だ。自分のことは案外知らない。ここでも、「相手から見た自分」がどのようにみえるのかを、自分自身で客観的に見ることが大切だ。こころとか、信念とかではなく、あくまで他人から見た自分を見るのである。
そのうえで、「話が通じる」ために「他人」と「自分」をすり合わせるとき、変えられるのは「自分」である。そのためのヒントが興味深かった。
折り合わないときは、「1つだけ譲歩する」。
「負け」をイメージして、自分に大した影響が出ないことを知るとともに、逆に相手にとっては「負けカード」は最強のカードであることも知れば、負けることは怖いことばかりではなくなる。
相手の言葉を「翻訳」する。罵声も、親しいと思うから出てくる。本当に嫌いなら、「無視」である。これから関係を築きたいと思う相手の場合は、相手の言葉を、ワンクッション置いて、自分に都合よく「翻訳」することで随分ショックを受けずに済む。
それでもダメなら、席をたち、気分を変える、など。
非常に実践的な内容だった。
そこから最終章は、難しい内容を、「なぜ著者は難しい言葉や概念を使おうとしたのか」を考えながら読むことで、著者にとっての言葉や概念の「フレームワーク」を見つけ出せれば、「通じる言葉」として難しい内容も読み解ける、と、具体例をあげて示している。
たまたま手にとった本だが、非常に面白かった。
面白さを伝えられる文章力がないのが悔しい。(15分)
「男性性」が気持ち悪くてしょうがない
心の災害派遣
東日本大震災のとき、ほとんどの被災者は、自衛隊の活動に感謝してくれた。しかし、一部の人々は、自衛隊員にも辛辣な言葉を浴びせた。自衛官が、”お上”の一部でもあるからだ。
上司が調整から戻ってくるまでの間、車の横で待機していた隊員が「おまえら、なにをボーッとしているんだ」と罵倒されたり、水を運搬した隊員が、「もう水はいい、ビールを持ってこい」と怒鳴られたり。
冷えた缶詰のラベルに「赤飯」(腹持ちがいいので、赤飯の缶詰が結構あるのだ)と書かれていたのを見て、「おまえたち、自分たちだけいい飯を食って。なにがめでたいんだ」と詰め寄られた隊員もいる。
隊員は、「なんとか被災者のためになりたい」と純粋な思いを持っている。その分、その被災者に罵倒されたとき、たいへんに傷ついてしまう。
そんな隊員にカウンセリングをするときは、この”惨事の後のイライラ”について説明する。
「イライラは症状である。イライラをぶつけることによって、悲しみに直面しないで済んでいる。君は、その人になにか言い返したのか」
「いえ、なにも言わずに、黙って耐えていました」
「それでいい。われわれにイライラをぶつけることによって、その被災者は他の人を攻撃せずに済んだかもしれない。悲しみを一瞬忘れることができたかもしれない。君が苦しい思いをこらえたことには、意味がある。君は、『心の災害派遣』をしたんだ」
「平常心を鍛える」下園壮太(p151-152)
特定の組織を美化するつもりではなく、単に自分にも同じようなことがあって、無かったのは、こういうフォローだった。
沁みた。