大河から報告を受ける夢を見た
夕方、大河が、戻ってきた。
北村とのデートだったはずだが、どうだったのか。
揚げ物を新聞紙に取りあげ、顔を上げる。
玄関で、固まっている大河に、声を掛けた。
「今日は揚げ物だぞ。……で、どうだった?」
「……う、うん。楽しかった」
コクコク、と機械仕掛けのように首を動かす大河。
「まぁ、玄関じゃあなんだ。とりあえず上がれ」
火を止めて、冷蔵庫を開けた。
テーブルの前に座った大河に、冷蔵庫から出してきた水出し麦茶をおもむろに差し出す。
「……」押し黙る大河。
どうも様子がおかしい。
「どうした。楽しかったんじゃないのか?」
うん、うん、とうなずき、沈黙。
なんなんだ?うれしいんじゃないのか?
「遊園地に行ったんだよな。いろいろ乗り物には乗れたか?」
「う、うん。ジェットコースターも、観覧車も乗った。北村君優しかった」
そうかそうか、とうなずくオレ。
そして、急に大河は顔を真っ赤にしたかと思うと、モジモジと両手の人差し指の先をツンツンしながら、言った。
「……キス、しちゃった」
「なに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
心臓どっくんどっくん。
頭の中に浮かぶのは、夕暮れの遊園地。
近寄る影二つ。
ゆっくりと、近づいていくくちびるとくちびる……
「いか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!、いかんぞそれは!!!」
「な、なによ竜司。いきなり叫ぶな!」
眉間にパンチ。「おうっ!」。
オレは明らかに動揺していた。
目の前にちんまりと座り、ニヤニヤ笑いを噛みしめている大河。
その姿が、どんどん遠のいていく気がした……
はっ、いかん。
これは、喜ぶべきことなんだ。
そう、オレは、おめでとうと言うべきなんだ。
言うべきなんだ……
てな夢を昨日見た。スゲー動揺していた。
オレ、どうも竜司属性らしい。