「誰がシロクマを責めますか?」
「たとえ
転向して転校してあのクラスからは抜けだせたにしても、一番根本的な問題は解決しないんだよ。だから、なにか素直に喜べないのよね。敵前逃亡みたいで、後ろめたいんだ」「根本的な問題の解決なんて、まいのような新米の魔女見習いには無理ですよ。この場合の根本的な問題は、クラス全体の不安ですからね。クラスのみんながそれぞれ不安なんですよ」
「でも、私の問題もやっぱりあると思う」
まいは、けなげにも言い切った。
「わたし、やっぱり弱かったと思う。一匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる楽さを選ぶか……」
「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか?」