reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

お金を払うものが「勝ち組」だって?

続き

「お金を払う人が負け組」という状況をなくすべき--ドワンゴ川上会長、著作権問題に提言 - CNET Japan

昔はCDを買った人がクラスのヒーローだったが、今はどこからかコピーを持ってきた人がヒーローであり、お金を出して購入した人は負け組になっている。


お金を払った人が負け組だという意識を解決しないと、ユーザーはデジタルコンテンツに対してお金を払わない。

そうかぁ?


「お金を払うのが勝ち組」とか言う時代はもうとっくに終わっているよ。それは、コピー技術が拙かった時代の話だよ。

お金を払ってCDなりレコードを手に入れてヒーローだったのは新譜で、それすらカセットテープをダビングして仲間で回していたよ。

そんな遙かいにしえの頃とは隔世の感があるほど、今は触れることの出来るコンテンツの数は増えている。等比級数的に増えている。

音楽や小説やそういう芸術は、質の良いものをある程度までシャワーのように浴びまくらないと、センスが身につかない。と思う。

音楽はジャンルにもよるが五千曲以上聞かないと耳が育たないし*1(それも執拗に繰り返し聞くことで)、小説もやはり数千冊読まないと「読むというリテラシー」がつかない。絵は僕はこれまで見る機会がなかったので、先日フィレンツェの絵画展を見たがさっぱり分からなかった。たぶん数千枚見る必要があったのだろう。


僕は図書館で音楽も小説も借りて、シャワーのように浴びて育った。傑作と言われる小説や名盤と言われる音楽はそこで聴いた。昔だって、別にお金を払うことが「勝ち組」ではなかったと思う。


センスがつかないと消費者は育たない。なので一方では無料でシャワーのように芸術を受益できる環境、一方でクリエイターに還元する仕組みが必要だと思う。

シャワーのように芸術を浴びて育った消費者が、今度はお金を芸術に支払い、還元する仕組みですね。

でないと、お金のない子どもたちは、芸術の前で立ちすくむことになってしまう。お金がないから、感性が育たないまま大人になって、結局芸術の「消費者」にならないのではないか。

むしろ、どれだけ幅広い層に音楽の恵みを享受させ、その上でクリエイターにお金を還元させるのかが求められているんだと思う。


本気で消費者を、芸術を享受する存在に「育てる」つもりがあれば、勝ち組とか負け組なんて意識ではそこにたどり着けないと思うよ。


続き

*1:1アルバム10曲で500枚。ロック・ポップス・ジャズ・邦楽ポップス・クラシックとジャンルを上げるだけでも1ジャンル100枚程度。1アーチストの生涯アルバムの平均は10枚程度だから、これだって1ジャンル10アーチストしか知れないことになってしまう。実は5000曲はものすごく少ない