「労働契約」ってなに?
売り上げが右肩上がりで、いけいけどんどんの時は、むしろうっとおしい「法律」とか「ルール」ですが、こういう売り上げが下がっているときには、これまでなぁなぁでやってきた部分を見直すことが、一つの職場の改善、収益の改善につながるかもしれません。
今回は、働くルールについて書きます。
仕事に関するルールは、主に4つ。
- 法令……労働基準法などの法律や法令
- 労働協約……労働組合(または職場の代表者)と雇用主が書面で結ぶ職場のルール
- 就業規則……雇用主が書面で通知する職場のルール。10人以上の職場では必置。
- 労働契約……個々の従業員が雇用主と書面で結ぶ契約
上が下の上位規定になります。
なので、労働契約で最低賃金を下回る契約とか、労働時間を週80時間にする契約とか結んでも無効になります。
正社員だと、労働契約が書面で結ばれていなくても、常識的な賃金は支払われていましたし、簡単には辞めさせられないという「常識」があったので、労働時間などは雇用主との話し合いで決めていく、という側面がありました。
ですが、最近増えている「フルタイムで働くパートタイマー」の方だと、これらが当てはまりません。
- 契約期間
- 労働時間
- なにが時間外労働に当たるのか?(残業が決まらない)
などが決まらないと、雇用主の善意・悪意という問題とは関係なく、無給で働いて、ある日突然契約終了、となってしまう可能性があります。
では、「労働契約」の書面ではなにが決められるのでしょうか?
労働基準法では第15条で、
- 絶対的明示事項(絶対に書面で明示しないといけないこと)
と
- 相対的明示事項(定めをするなら明示しないといけないこと)
が定められています(参照)。
●必ず書面を交付する形で明示すべき項目(絶対的明示事項)……昇給以外は書面交付
- 労働契約の期間に関する事項
- 就業場所、従事すべき業務に関する事項
- 始業及び終業の時刻、残業の有無
- 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
●就業規則その他に定めがある場合に明示すべき項目(相対的明示事項)……出来れば書面、口頭でも可(就業規則に書かれているから)
- 退職手当、臨時に支払われる賃金、賞与等、最低賃金に関する事項
- 労働者に負担させるべき食費、作業用品など
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害保障及び業務外の傷病補助に関する事項
- 表彰・制裁に関する事項
- 休職に関する事項
こういう書面は、会社が社会保険労務士さんなどと相談して作るものですが、そんなに大量に雇うわけではない中小企業ではひな形が求められていて、ググるとたくさん出てきます。
経営者が忙しくてこういうことにかまってられず、労働者側から提起する場合には、ワードの文章を、ある程度良いようにがりがり削って、参考資料として渡すと良いかもしれないです。