reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

洗脳の連鎖

以前書いたエントリを、いろいろびびって消しました。

でも、こちらのエントリのため再掲します。

仕事で実際にあったことです。




上司「repon君、あの仕事はどうなった?」

私「(忙しいのに呼ぶなよ)あの仕事、とはなんでしょう?」

上司「はぁ?あの、宣伝物の仕事だよ」

私「ああ、あれは前回の会議で、次回持ち越しになったはずでは」

上司「なに言っているんだっ!あれ いつ配ると思っているんだっ!

私「(眠い……)例年では再来月ですが……」

上司「じゃあ、間に合わないじゃないか」

私「(眠いし背中が痛い……)しかし、会議で保留にされたのは上司さんじゃありませんか」

上司「はぁ?責任者は誰だよ!宣伝物の責任者は誰だよ!!

私「(いかん頭がかすんできた)上司さんです」

上司「君さ……そういう言い逃れは良くないよ。確かに統括責任者は僕だけど、担当者は君でしょ?」

私「はぁ」

上司「僕に実務がわかるわけ無いだろう!それをきちんとこなすのが君の仕事だ

私「(ああ殺したいなぁ)……会議で、議題に載せたのに、次回まわしにしたのは上司さんですよね」

上司「そんなことはどうでもいいことなんだよ。というか、わかっているなら、何できみちゃんと会議で言わないの?

私「会議で言ったじゃないですか」

上司「ちゃんと言わないから、次回まわしにしたんだよ。自分の責任を自覚してよ」

私「(こいつ殺してもいいよね)……ええと、つまりどういうことですか?」

上司「だから間に合わせなさい、と言うことだよ。地方の部局からも問い合わせが始まっているんだよ。しっかりしてくれよ」

私「(結局地方からの突き上げ食らってびびってんのかよ)……無理ですよ」

上司「……例年通り、きちんと宣伝物を作成する。それが君の仕事だ」

私「しかし業者の選定が終わったところでまだ打ち合わせが……」

上司「すぐやればいいだろう?」

私「会議に掛けないで内容を決めてしまっていいんですか?」

上司「そこをきちんとやるのが担当者である君の仕事なんだよ! さて、次の会議に行かないと。repon君、何年同じ仕事やっているんだよ」



私「で、こちらが昨年の宣伝物に手を加えたものです。これに、そちらからの新しいキャラクターを載せて、原案を提示していただけますか?」

業者「はい、わかりました」

私「来週中に」

業者「……ゑ?」

私「来週中に出してください」

業者「いえ、あの、(隣のデザイナーを見ながら)まだ今回の打ち合わせが初めてでして」

私「そうですね。初めてですね。」

業者「ですから」

私「(かぶせるように)例年、いつもどの時期に宣伝物出していましたっけ?」

業者「……再来月ですね」

私「長いこと一緒にやっているからわかるでしょ。だったら、工程表を作ってきてください」

業者「しかし」

私「(かぶせるように)で、来週までに原案を出さないと出来ないと言うことがわかっていただけましたよね」

デザイナー「(うつむいて手が震えている)」

業者「努力します」

私「できますよね?」

業者「努力……」

私「できますよね?

業者「……(手を震わせながら)はい、出来ます」

私「じゃあ、お願いしますね。あ、当然入札通りの金額でやってくださいね」

業者「……はい」



次回会ったとき、デザイナーの目の下には隈ができ、頬はやつれていた。


受け取った原案を会議に提示、意見を受け、業者に戻す。




何とか間に合うだろうか?




私「で、これが最終稿なのですが、みなさんに見ていただいたとおり、とくに直しはないようですね」

会議出席者「……」

私「では、議論も出尽くしたようですし、会議の予定時刻もあと5分で終わりなので、少し早めですが終了したいかと……」

ガラッ

上司「おお、やっとるね。どれどれ」

私「(ゲッ)」

上司「うーん、これはいかん、いかんなぁ」

私「ええと、では会議を終了すると言うことで」

上司「こことここ、直し入れて」

私「……上司さん、これ以上直せませんよ」

上司「いや、これは直す必要があるね。かなり直しが必要だ。うん、これじゃダメだ。心に訴えない」

私「あのですね、それもうみんなで何度も見ていて、上司さんだって見ていて、意見が出ていなかったじゃないですか。それを今になって」

上司「出来ない理由が?

私「出来ないでしょう。最終稿ですよ?もう直しがない前提で進めているんですよ?」

上司「あのさ、repon君、仕事ってものわかっている?」

私「(あらら、俺の右手、震えて来ちゃった)」

上司「全国のみなさんにお配りして、喜んでもらえるものを作る。その妥協しない姿勢こそ必要だろう」

私「それはそうかも知れませんが」

上司「ならこことここ、ここも直して」

私「ちょっ……それ全面直しじゃないですか。無理です。出来ません」

上司「まだ時間はあるだろ?」

私「いや、ですから、これからそれだけの直しを入れたら、文字校正も必要になりますし、何工程か必要になるんです」

上司「……」

私「今だってぎりぎりの工程で進めているのに、これ以上詰めたら確実にミスが出ますよ」

上司「なんだって?」

私「ですから」

上司「ミスが出るかでないかは、やってみないとわからないだろう

私「だから、こんなに詰め詰めの工程にしたらどっかでミスが出るに決まって……」

上司「……それを何とかするのが君の仕事だろ!

私「クッ……!」

上司「(ニヤリ)では、今から言う直しを入れて……」



私「直しが必要になったから」

業者「ゑ……」

私「赤を入れて置いたので、すぐ直して、校正稿を出してください」

業者「ええと、そうすると大幅に工程が変わってくるのですが」

私「変わらせないでやるのが仕事です

業者「(手がぶるぶる)」

私「あ、当初予算は確実に守ってくださいね。じゃあ、よろしくお願いします。」



「打ち合わせ」という名の業者いじめを行い、「自分だって追い詰められているから」などといういいわけももう言い尽くした、就職して3年目の冬、窓の外を見上げると、空はどんよりと曇っていた。


その業者さんと、もう会うこともない。


ちなみに、うちの職場に関わった業者さんは、みんなうつ病で倒れている。