reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

「家族」というリスク

b:id:morutan:20080206さんからかけられた呪いを解くべく(笑)、「闇金ウシジマくん10巻」(サラリーマンくん編)を読みました。


(泣)


しかし、半分は主人公に感情移入できたのですが、半分は「自分とは違う」と冷めた目で見ていました。


というのは、私は勤め人ですが、配偶者も子どももいないからです。


主人公には二人の子がいて、妻は専業主婦です。


主人公は嫌で嫌でしょうがない職場にとどまり続け、少ない小遣いでやりくりしているのですが、その理由は、ほぼ家族を養うためです。もちろん他の職場を知らないので積極的に転職活動が出来ない、と言う理由付けもありますが、足かせになっているのは明らかに家族です。


妻は専業主婦で、子育てを一人で行っている大変さを嘆き、夫である主人公はノルマに追われ上司にパワハラを受け残業(多分サービス残業)をし疲れ果て、お互いを理解し合えないままに日々過ごしています。やがて些細なきっかけ(これも仕事がらみ)で妻は家を出て実家に戻ってしまいます。やさぐれる主人公。


私にはそのような「リスク・ファクター」は今のところありません。


ところで、家族が「リスク・ファクター」だという認識は、現在の30代以下にかなり広く行き渡っていると思われます。

「……「非婚率」を計算すると……30〜34歳男性の非婚率が49.4%……30歳代前半の非婚率は、毎年ほぼ1%ずつ上昇していますから、現時点では、30代前半男性の過半数が非婚となっているのです。
……なぜ男性は結婚しなくなってしまったのでしょうか。実は結婚しないのではありません結婚できなくなっているのです。
結婚ができなくなった理由は所得格差の拡大です。……20歳代後半男性の結婚率を見ると、年収が1000万円台の男性の結婚率は72.5%……年収200万円台から249万円の場合は22.8%……そして非正社員の平均年収である年収100万円から149万円の人の結婚率は15.3%……」
(「年収崩壊森永卓郎 著)より


年収と結婚率が比例関係にあることが、容易にわかります。

こう書くと、まるで女性がカネの亡者になって男性を苦しめているかのように思われるかもしれませんが、そうではありません。
……女性の非婚率も上がっています……30歳代前半女性の非婚率を1985年から5年ごとに並べてみましょう。85年13.8%、90年17.0%、95年23.4%、2000年31.1%、2005年37.3%です。なんと20年で3倍近くに非婚率がはね上がっています。
……今から20年前、男女雇用機会均等法が施行される前は、女性に結婚しないという選択肢は、ほとんどありませんでした。正社員として会社に勤め続けることが、とても難しかったからです。
……だいたい20歳代後半になると「ハイミス」「行かず後家」「お局さま」などという差別用語を用いて、女性を結婚へと追い詰め、そして結婚と同時に会社を辞めざるをえない状況にしていたのです。
……しかし、男女雇用機会均等法が施行されて以降、そうした差別は厳しく糾弾されるようになり、非婚者を差別的に取り扱うことは出来なくなりました。その時点から、女性は結婚するか、しないかの選択肢を手に入れたのです。
(同著)


非婚化は、女性の解放でもある、と言うことです。


しかし、選択肢を手に入れた女性が、なぜ非婚化に向かったのか?

このように、女性も明らかに結婚しなくなっています。しかし、それは女性が結婚を望まなくなったということではありません。いろいろなアンケート調査を見ても、女性の9割は結婚願望を抱いています。
……それでは、結婚することのメリットとデメリットは何でしょうか。……専業主婦になって子どもを作ることを前提に考えましょう。
まず結婚をする最大のメリットは、働かなくてよくなることです。……専業主婦になって子どを作ることのメリットは、約1004万円……
結婚によって失われるもの……純粋にコストだけ考えると……最大のコストは、なんといっても子育て費用です。
……子どもを一人持つことのコストは、最低でも4000万円かかる……
……女性が結婚に踏み切れなくなった最大の理由は、男性の所得の安定感が損なわれたことなのです。
(同著)


子どもの養育費がこれほどとは思いませんでした。30年ほど前は1000万円と言われていたんですが……

結婚で長期的な安定は得られないと悟った女性は、短期的であってもイケメンや金持ちに享楽的な利益を求めるようになったとも考えられます。ところが、そんな男性はごく一部です。世の男性のほとんどはイケメンでも金持ちでもありません。女性に相手にされない人が大多数では、非婚率は上昇せざるを得ないのです。
(同著)


はぁ〜


私は男性なので「選ばれない」側なのですが、ここまで明確に結婚のコストは考えたことはありませんでした。
しかし、何となく結婚するには、今の自分は「不安定だ」という意識があり、その束縛から逃げていた、そんな気がします。


テレビでも、ワーキング・プアなどの特集をするときにはほとんど必ず、子どもや不要配偶者が「リスク・ファクター」として扱われています。
それを見て、多くの人が、「家族を持つことは危険だ」と感じているのではないでしょうか?


404 Blog Not Found:38歳までに知ることになる、22歳の自分に教えてあげたいたった1つのこと

親となるのを、ためらうな

私が親となったのは、29歳の時。しかし現在の妻とは24歳の時には同棲していましたし、26歳の時には籍を入れていました。かれこれ5年も待たせたことになります。そして同年輩の方を見ると、子どもを早く作った方々の方が、なんというか、「成長」が速いように思われるのです。いわば私は「親学校」への入学を5年もためらっていたわけです。

親になると、自由が失われるという意見があります。確かに相対的自由すなわち「自分の時間に対して、拘束される割合」は大きくなるでしょう。しかし親になることで、持てる力はそれ以上に増します。その力が大きくなるので、「絶対的自由」、すなわち「自分の手に届くものごとの範囲」は大きくなるのです。

そもそも社会だの会社だのという仕組みが、相対的自由にあえて縛りをかけることで、絶対的自由を増すための仕組みであることを考えれば、家庭という最も基礎的な社会を利用しない手はないのです。


「親学校」入学を選べる人は、今の不安定な経済状況では、非常に少ないと言わざるを得ません。


内田樹先生も、よく「結婚と子育てはやってみた方がいい」と説かれていて、私もなるほどな、とは思っていますが、リスクが高すぎて踏み切れませんよ。


モテるモテない以前の問題として、今の日本では家族を持つことは非常にリスクを伴うのです。
20歳代、30歳代はその点を敏感に察知しているからこそ、「結婚からの逃走」をしているのだと思いますよ。