reponの忘備録

「喉まででかかってる」状態を解消するためのメモ

「死刑判決」の陰に隠れた重大な問題

メンヘルCatch-22――光市母子殺害事件、不当判決についての雑感 - (元)登校拒否系さんに気づかされたので、書きます。


僕の主張は簡単で、

メンヘルだから犯罪を犯すわけではない。勘違いするな。『原因探し』という癒しに逃げるな」

ということです。


光市の母子殺害事件で、被告人の元少年に死刑の判決が出ました。

その焦点は、これまで犯行を認めてきた元少年がその主張を覆し、「殺意はなかった」とした証言の評価にありました。

元少年の主張は、「死体を押入れに入れれば、ドラエモンに助けてもらえると思った」「強姦したのは、生き返らせるための儀式」など荒唐無稽なもので、被害者の遺族も「なぜそんなことをいうのかわからない」と思わず感想を述べるようなものでした。

差し戻し裁判で高裁は、その主張に対して、

  • 「虚偽の弁解を展開して遺族を愚弄する態度は反省とはほど遠い。」
  • 「事実と違うのなら、起訴後六年半にわたり黙っていたのは不自然で不合理だ。」
  • 「犯した罪の深刻さと向き合うことを放棄し、死刑を免れようと懸命になっているだけ。」

などの理由を挙げ、その主張は全く取り上げる必要のないものであり、むしろ被告人が更生する余地がこれでなくなった、死刑を避ける理由がなくなった、と、死刑を判決として下しました。

裁判の焦点は、このでたらめとしか言いようのない被告人の元少年の主張に対して、それを認め減刑するのか、それを退け死刑にするのか、その点が注目されていたと思います。

僕は死刑に関しては態度を保留していますので、「死刑か無期懲役か」については意見を述べられる立場にはありません。


ところで、この被告人の行動は、ある事件での公判を思い起こさせます。

附属池田小事件における、宅間守死刑囚の振る舞いとマスコミの対応です。

彼は、公判中「死刑にしてくれ!」と再三喚いていました。

その態度がどこにあるのかは、それまでの彼の経歴を見ればおおよそ察しがつきます。

かれはこの凄惨な事件を起こす前にも、何度も暴力事件や強姦事件を起こしています。

しかし彼は長年うつ病を患っていたこともあり、心神喪失状態であったことが加味され情状酌量の余地有りとのことで罪が軽くなっています。

その点を彼は知人に「俺は何をやっても罪にならない」と誇らしげに語っていたそうです。

彼は、「死刑にしてくれ!」と叫き、常道を逸した行動を取ることで、自分が「正常ではない」ことをアピールしていたのではないでしょうか?

実際、マスコミも彼の犯行について、当時「精神安定剤を大量に服薬して朦朧としていた」「抗うつ剤を飲んで混乱にあった」などと報じていました。

しかし、精神安定剤を飲んだ方ならわかりますが、精神安定剤を大量に服薬したら眠くなってだるくなって動けません。

しかし世間の無知の前では、そのような理由がまかり通っていました。

結局宅間守はに「心神喪失状態にはなかった」という司法判断により死刑判決が下りました。


この二つの裁判に隠れて、実際に統合失調症うつ病で苦しんでいる方が偏見に苦しんでいます。

この経緯は、「ブラックジャックによろしく〜精神科編」(9巻〜13巻)に詳しく書かれているのでぜひお読みください。

物語は、この池田小事件が精神障害の患者の方々にどのような影響を与えたのか、その点を赤裸々に示しています。


それは、端的に「排除」の視線です。


「犯罪を犯したのは頭がおかしいからだ」から、「頭がおかしいから犯罪を犯すんだ」への思考の飛躍は簡単に起きます。

そして、「そのような人間を野放しにしておくことは社会の安全上好ましくないのではないか」という意見が、声なき声として伏流することになります。


異常な事件が起きたとき、人はそれを「端的に異常でまれなケース」のままにしておくことが出来ません。

どこかに原因を見いだそうとします。

そうでなければ安心できないからです。

そして、その原因を、「精神疾患だから」という理由に求めます。

そこから、「精神疾患を患っている人間は安全のために排除もやむなし」という主張まではわずかな距離です。


さらに、排除を無意識的にも意識的にも行うことで、自分たちが「正常である」ことを再確認できます。

「異常者」が「自分たちは正常である」ことの担保になるのです。

そうなると、「異常者の排除」という行動は更に促進されます。


精神疾患は、骨折や内臓疾患などの病気と同じように、本人ではどうしようもない外的な要因により引き起こされます。

それは脳の疾患であったり、脳内の何らかの異常によって引き起こされます。

「こころの病気」という言葉がありますが、実際には「脳の病気」なのです。

だから、心がけ次第でどうにかなるものではない。


疾患という人生の災厄に見舞われた上、その災厄が原因で排除される方々のお気持ちは計り知れないものがないでしょうか。


僕は、この事件の報道が、暗に「異常者は犯罪を起こす」という前提を受け入れており、その点に言及されないことがむしろ問題だと思っています。


僕の母は、先日起きた茨城県土浦市のJR荒川沖駅周辺で起きた8人殺傷事件で、「容疑者のカバンに携帯ゲーム機が入っていた」などと嬉々として報じるテレビをみて、

「あれでしょ、ゲーム脳とかでしょ。問題よね」

とか

「ゲームと現実の区別がつかなくなっちゃったのよ」

などとコメントしてくれました。


これが「庶民」の感想なんだなと思いました。


今回の事件でも、「やっぱりちょっとおかしい人は危ないわよね」という「庶民感情」が伏流しているであることは想像に難くありません。

そのような、「見えない排除」に僕は反対したいと思います。

チベットリンク

「街場の中国論」を著している内田老師のエントリ。今日も冴えています。

ダライ・ラマ14世は、毛沢東周恩来以来すべての中国指導者と五分で渡り合い、いまだに中国の「対抗者」のポジションにいる世界でただ一人の政治家である。


私たちはなんとなくダライ・ラマ14世というのを穏和で平和主義的な宗教家だと思っているけれど、この人は現存する政治家の中で「最長不倒距離」を誇るスーパーマンなのである。

なるほど。

55の少数民族を抱える中国政府も相当な手練れだと思いますが、その中国政府とまともに対抗しているのがダライ・ラマ14世ただ一人だという事実には愕然とします。

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